「リーダーが育たない」って悩む前に、ちょっとだけ考えてみません?
「結局、最後は自分がやることになる」
「スタッフはいい子なんだけど、主体性がない」
「“なんで気づかないの?”って思っちゃうこと多い…」
これ、プレイヤー兼経営者あるあるですよね。
でも、もしかするとその原因は、“人が育たない”んじゃなくて、“育つような土壌がない”だけかもしれません。
「リーダーを育てる」って、スキルじゃなくて“文化”の話だった
よく「リーダーシップ研修」とか聞きますけど、
実際には、リーダーって“仕組みと文化”で育つものなんですよね。
TEDでも紹介された『Turn the Ship Around!』の元潜水艦艦長・デビッド・マルケ氏はこう言いました:Youtubeはこちら(英語なのでAIなど使って翻訳してね)
「部下に考えさせたいなら、上司は“命令する側”から“意図を引き出す側”に変わらなければならない」
つまり、“育てる”のではなく、“自然と出てくる設計”をするという考え方。
ABAで見る「リーダーが育つ組織文化」のメカニズム
行動分析学(ABA)では、
人の行動は環境と結果によって形づくられるとされています。
特に有効なのが、“分化強化”と“モデル強化”という考え方。
分化強化(Differential Reinforcement)
簡単に言えば、「望ましい行動だけに注目して強化する」という技術。
リーダーっぽい行動(気づいて動く/先に相談する/仲間に配慮する)が出たときだけ反応し、それ以外には反応しない。
→ すると、「こう動けば注目される」という学習が生まれ、自然に“リーダー的行動”が繰り返されるんです。
✅ モデル強化(Modeling with Reinforcement)
「他の誰かが褒められているのを見て、自分もやってみようと思う」現象。
これは“観察学習”に近いんですが、ABA的には他者の行動を通して学習を強化する方法として扱われます。
→ リーダー行動をした人をチーム内で取り上げることで、周囲の行動も連鎖的に変わるんですよね。
じゃあ、どうする?自然にリーダーが育つ文化のつくり方【3ステップ】
①「“気づき行動”を拾ってフィードバックする」習慣をつくる
リーダーって、だいたい“人よりちょっと早く気づいた人”なんですよ。
だから、気づきに反応してくれる環境があるかどうかで行動量はまったく変わります。
例:
「さっきのお客さんへの一声、めっちゃ良かった」
「その判断、助かった〜!」
→ この“すぐその場での反応”が、行動を定着させる鍵です。
②「“やらされてる感”のないミッション設計」を意識する
リーダー行動って、「上から指示されてる感」があると一気に減ります。
なので、「あなたがそうしたいなら、任せるよ」という“選択と意図の余白”があるほうが伸びるんです。
例:
❌「これお願いね」
✅「この件、やってもらえると助かるけど、どう思う?」
→ このワンクッションが、責任感と自発性を育てる“土壌”になります。
✅③「リーダーシップの“行動定義”を可視化しておく」
「主体的に動いてほしい」
「考えて動いてほしい」
…これ、抽象的すぎて伝わらないですよね笑
だからこそ、“リーダーっぽい行動って具体的にどういうこと?”を可視化しておくと、行動に移しやすくなるんです。
例:
- 会議前に議題を確認する
- 他メンバーに声をかける
- トラブル時に自ら提案する
これを“見える化”しただけで、「自分にもできるかも」が増えます。
リーダーが育つ組織って、実は「育ててない」んですよね
育てようとしすぎると、依存とプレッシャーが生まれる。
でも、「育つように設計してある環境」なら、勝手に芽が出るんです。
だからまずやるべきは、
“誰を育てるか”じゃなく、“どう育つ環境を整えるか”を考えること。
最後にひとこと
「いつかは任せたい」
「次のリーダーを育てたい」
その気持ちがあるなら、今日から“反応”と“設計”を変えてみるだけで、驚くほど現場の空気は変わります。
まずは、“リーダーっぽい行動”が出たときに、
さりげなく拾って、言葉にして、反応してあげる。
それだけで、「自分の価値」に気づく人が、きっと出てきますよ〜!
元イルカの調教師で、応用行動分析学を使った行動デザインコンサルタントの櫻井 祐弥です。