「報酬」を出すことは、そんなにダメなのか?

報酬を与えるとやる気が減るよね

こんな話が出てきましたが、あなたはどう考えますか?

行動科学では、この「報酬」ってメチャクチャ大事なので、ここを押さえて話をしたいと思います。

行動デザインコンサルタントの櫻井です。

今回のテーマ「報酬」について、ABAの視点と過去の経験をもとにお話していこうと思います。

行動科学的な報酬について

幅広い意味で使われる「報酬」ですが、経営者だと社員のお給料を思い浮かべるかと思います。

この報酬ですが、報酬を上げることでやる気を削ぐのでは?という話が挙がっています。

報酬にも何種類かの意味がありますが、ここでは割愛しますね。

念の為、色々とネットを探りましたが、基本的には「報酬=労働の対価」として考えて良さそうです。

さて、この報酬ですが行動科学の視点では「行動を繰り返させる刺激」を報酬とすることが多いんですね。

報酬と聞くと、真っ先に思い浮かぶのが「お金」ですが、もちろんそればかりってわけじゃないですよね?(あなたも、お金だけで動いてないですよね?)

報酬と一括りにしてますがその中には4種類ほどあって

  1. 物質的な報酬
  2. 社会的な報酬
  3. 活動的な報酬
  4. 自然発生的な報酬

とあります。

それぞれ見ていきましょうか。

❶物質的な報酬

物質的な報酬というイメージから、想像は簡単ですよね笑

これには、お金・食べ物・おもちゃ・贈り物なんかの「具体的な物質」が含まれます。

ただ「なんでも物ならOK」ってわけじゃないですね。

相手の行動がきちんと繰り返すような、相手の好みに合ったものというのが大前提です。

❷社会的な報酬

褒め言葉・笑顔・肯定・賞賛
他には、感情の行き来なんかも、ここに含まれます。

人間の関わりの中で重要な報酬ですね。
社会性を持ってる私たちにとって、この報酬はすごく効果が高い物の1つです。

これだけで他人をコントロールするような「人たらし」もいますよね?
あなたの周りにもいませんか?

❸活動的な報酬

好きな活動とか、特権を与えるような報酬の種類です。

例えば、タバコ休憩

は、まさにコレですね。
私はタバコは吸わないのですが、タバコ好きの人って、1本吸うために仕事頑張るそうなので、強力な報酬だと思います。

頑張ったから〇〇くん、
休暇あげよう

果たして、こんなことがあるのかは分かりませんが、これも活動的な報酬になります。

❹自然発生的な報酬

行動そのものから発生する報酬です。
私たちの日常の活動のほとんどがコレ。

何か挑戦したことに対する達成感から服を着るなんて当たり前にしてる行動が維持されるのも、自然発生的に報酬を得ているからこそ。なんですね。

報酬はやる気を削ぐのか?

さて、上を踏まえての話ですが、本当に報酬はやる気を削ぐのか?

私の見解は「NO」です。

やる気を削いで、行動が繰り返されない。または、行動が減少するってのであれば、それは最早、報酬じゃないやん?

って考えてます。

なので、やる気が削がれているのは「別の要因」ということになりますね。

もちろん、物質的な報酬ばかり頼っていると行動する動機が減少します。
これに関しては、行動経済学における研究でも明らかになっています。

物質的な報酬は、確かに行動を維持しますが、提示が止まることで行動の動機を大きく削ることになるんですね。

なので、この点だけを捉えると「報酬はやる気を削ぐ」ということになるんですが…

そもそもの話なんですが

上で挙げてる❶〜❹の報酬をバランスよく活用していれば、やる気が削がれるなんて現象って起こるはずないんですよね。

じゃあ、やる気が削がれる要因は?

簡単ですね。
ネガティブな要素が出てるんです。

・個人にかかる責任増加
・業務内容に対する負担増加
・仕事に関連した嫌悪刺激出現
・ワンパターンで飽きやすい環境
・物質的な報酬に依存している

やる気が削がれるには十分なネガティブ要素ですね。

要はですね。

このネガティブな要素と報酬の天秤なんですね。で、大切なことなんですが

現代の日本は不自由ない生活がある程度保証されているので、ネガティブな刺激に敏感になります。

なので、報酬を上げた途端、会社を辞めてしまう。なんて現象が起きるんですね。

そしたらどうすればいいの?

そうですね、それを下で考えましょう。

報酬でやる気を上げるために

報酬を使ってやる気を上げるためには、いくつかきをつけるポイントがあります。

  1. 多数の報酬を使う
  2. 報酬にギャンブル性を持たせる
  3. 最終は、自然発生的報酬に任せる

基本は、この3つを押さえないと話になりません。

❶多数の報酬を使う

断言しますが、
動物は必ず刺激に慣れます。

毎月100万もらっても、最初は嬉しいですが、やがて「当たり前やん?」になりますし、辛い現場でもやがて「普通やん?」になります。

また、同じ仕組みで報酬にも慣れちゃうんです。

なので効果が薄くなってしまうんですね。

❷報酬にギャンブル性を持たせる

動物は「いつもと同じ」を嫌います。
変化がないと、心が踊らないんですね。

なので、報酬を数多く使うのもコレに関連してるんです。

予測できない報酬

というのが、一番生き物が喜びを感じます。
なので、やる気を削いでしまうような報酬の出し方は、このポイントを意識してないんですね。

❸自然発生的な報酬に任せる

行動には必ず結果が伴います。
これが自然発生的な報酬の正体。

なので、達成感や充実感を得られるような「仕組みづくり」というのが、ものすごく重要な部分です。これがいわば、「内発的動機づけ」につながるんですね。

この自然発生的な報酬は、もちろん上司や経営者の方・環境の工夫次第で、いくらでも作ることができます。

私たちは、必ず行動の結果によって行動を繰り返すか否かを決めているので、環境を整えるだけでも大きな成果を生むことができるんです。

これがうまく機能していると、自発的に行動することが増えてくるので、人が変わったように見えると思います笑

それくらい、効果があるんですね。

あまり長くなるとアレなので、今日はここまでにしておきます。

スタッフの報酬にどんなものが出ているのか。
やる気を上げる報酬になってるのか。

興味を持ってくれた方は、無料相談もあるのでぜひ活用してくださいね。