5月は、社員の行動改善について聞かれる機会が多かったので、その話をまとめてお伝えしたいと思います。
行動にかかわるものは、行動科学でその行動の分析や変容をするためのプランを立てることもできます。
もちろんですが、プランを立てる上では、あくまで「仮説」なので、実際に実行して初めて意味があります。
今回相談を受けたのは「性格に難があるスタッフの行動改善」です。
この「難」の定義ですが、あくまで、経営者側が頭を抱えている。スムーズにコミュニケーションが取れない。こうしたお悩みです。
もしかしたら、同じ悩みを抱えている方もいるかもしれませんので、ぜひ参考にしてください。
行動科学の前提として
まず、前提の話ですが行動科学を用いる場合
「心は一旦横に置いて、行動にフォーカスする」
とするのがスタートになります。
シンプルにいうと、行動を繰り返しているか、否か。がポイントになります。
ここでの問題は
社内で求められている行動から微妙に逸脱してるので扱いにくくなって困っている。
という部分です。
これを改善できる方法を模索します。
スタッフの問題行動を特定する方法
さて。
まず重要なのは、スタッフの問題行動を特定することですよね。
ここで大切なことは「行動は時系列で考える」ということ。
なので、
それらがいつ、どのような状況で発生しているのか
これを記録、もしくは把握しましょう。
例えばですが、職場での自己中心的な発言。
耳にするだけでイラっとするかもですが、その発言がどのような会話の中で、どのような時に起こるのかを把握します。
行動には、再現性があります。
なので、目立っている行動を見つけて意識すると、嫌でも耳に入ってくるかと思います。
経営者がそこまでする必要があるのか。
という問題も確かにあります。
実際に私も、他の経営者に指摘されたことがありますが、10名程度の組織であれば、経営者が把握する方が、その後の対応はスムーズかと感じています。
10名を超えてくると、現場を任せる管理者に把握させるのがいいですね。
効果的な行動改善に向けてのきっかけと結果の理解
行動を理解するのであれば、その「きっかけ」と「結果」を把握することが、その後の行動変化のポイントになります。
というのも、行動のきっかけ(トリガー)が分かれば、それを引かないようにすれば、行動は出なくなりますし、行動を繰り返す要因(結果)が分かれば、それを出さなかったら行動を繰り返す理由がなくなるからです。
なので、問題行動が目出すスタッフの行動について、その行動を引き起こしている前触れと、結果を明確にします。
例えばですが、自己中心的な行動のよって出た結果が評価されている環境であれば、その行動を止める動機が少なくなってしまいますので、評価しない。などがありますね。
職場での協力的行動を促進する戦略
問題の行動によって生まれた、相手にとっての都合の良い結果
これが、問題行動を維持しているという考え方をするのが行動科学です。
なので、問題行動をやめさせる場合は、その行動に変わる望ましい行動を促すための環境づくりを行います。
チーム内で協力的な行動をとった際には、即座に承認と報酬を出すのがその方法になりますので、チームとして問題に取り掛かることは必須です。
実は、漫画「宇宙兄弟」にも、似たようなシーンがあるんですが、見たことありますか?笑
宇宙兄弟はめっちゃ面白いので、ぜひ見てほしい漫画です。
そのシーンは、宇宙飛行士として訓練を重ねる主人公のチームが個性的なメンバーばかりで、全くまとまりが無い、という状況で発生します。
砂漠のど真ん中に下ろされたメンバーが、全員で時間内に目的地に辿り着く。というミッションですが、もちろん足並みなんて揃わないです笑
そこで、全員の足並みを揃える。という望ましい行動を生み出すために、リーダーが環境づくりを行いました。
どんな環境か想像できますか?
全員の時計を回収するんです笑
で、リーダーだけが、時計を持つ。
この環境を作ると、時間内に目的地に辿り着くにはリーダーと足並みを揃えないといけなくなります。環境によって、人の行動は左右される。良い例だと感じます。
職場での模範行動を学ぶロールモデル
行動の修正を行う場合、模倣という素晴らしい方法があります。
人間は模倣する能力に長けていますので、現場でも使えますね笑
もし、問題のスタッフに尊敬する人物や上司がいるのであれば、その関係を強化して
その人物の正しい行動を模倣することを学習させます。
報酬は承認がいいですね。
正しい行動を学ぶ機会を奪ったら、元も子もないです。
なので、学ぶチャンスは与えましょう。
扱いにくいスタッフを切る
もしくは、やめていくように仕向ける
みたいな話をしている経営者と出会うこともあります。
もちろん、それも選択の1つです。
ただ、行動を修正できるのであれば、その方がいいと考えています。
感情的な話もそうですが、現代は人材の確保や定着が非常に難しい時代になっています。
人を取っても辞めてしまう。
理想の人材はなかなか見つからない。
そんな時代に、人を切ってしまうという会社に人が定着するんか?という疑問です。
そういうネガティブな空気感って、スタッフの人たち敏感に感じますからね。
問題の人を切るという手段は、行動科学の中でもしっかり技術として記載しています。
抹殺法 と言います笑
問題の根本を解決する最強の方法です。
できれば私は使いたくないですが、めっちゃ強力なことはお約束します。
成功に導くフィードバックと評価
1on1が重要な時代になってきましたね!
メンター制度を取り入れる企業も普通になってきました。
最近は新人スタッフから社長が何かを教わる時間を作っている企業もあるそうです。
成功に導くためのフィードバックは、行動を変えて維持するには必要不可欠と感じています。
個人のキャリアを企業が考える時代にもなっているので、改めて個人への理解を深めることが大切になります。
で、この頻度ですが、最初は多く、徐々に少なく、最終的にランダムにすると行動の維持に役立ちます。
評価は「行動評価」を意識すると、相手との理解が深まります。
例えば営業だと、「案件10件獲得」より「100件に電話をかける」の方が、イメージつきやすいですね。100を1000にすれば、案件獲得の確率も上がります。
結果を出すためには、試行回数を増やすのが行動を評価する上でも重要です。
プライバシーを守りながら職場で行動改善する方法
コーチングの手法を取り入れることで、相手の望んでいるものを明確にできるメリットもあります。
相手から「自分のことを理解してくれている」という信頼を獲得できれば、承認や褒める報酬、罰も非常に強力に効果を発揮しますので、行動変容に役立ちます。
好きな相手から言われた一言は嬉しく感じますが、嫌いな奴からの一言って、やけにむかつきませんか?
相手との関係値が、刺激の価値を決めるというのは、紛れもない事実ですね笑
「嫌われている上司はあいさつすらセクハラ」と言ってる女性にも会ったことがあります。
無茶苦茶な話ですが、これも事実です。
さて、定期的なフィードバックや1on1では、その中ででた話のプライバシー保護は必須です。
話が漏れると、腹割って話してくれなくなりますからね。
私たちはリスクを避ける動物ですので、スタッフのプライバシーは守ってあげてくださいね。
今日はここまで!
最後まで読んできただき、ありがとうございました!
元イルカの調教師で、応用行動分析学を使った行動デザインコンサルタントの櫻井 祐弥です。